親父の車に乗り、向かったのはちーの家。



家から結構離れた古いアパート…。



親父も一緒に車を下りて、玄関まで着いてきた。



「重いものあんなら手伝ってやれ」

「だからなんで俺が~…」

「はいはい、文句言わない」



玄関のドアは開いていた。



目が合ったのは見た目を派手に着飾った母親らしき女。



「どなた?」

「…………友達」

「そ」



ちーが俺の手を引っ張って進むもんだから挨拶なんてしなかった。



袋の中に詰めた服と勉強道具。



比較的少ない持ち物。



「お預かりしますので」



親父が母親と話していた。



誘拐みたいに連れて行くのはヤバいとか言って。



預かると言った親父に対し、母親の返事はコレ。



「助かります~」



そういうことか…目の前にいるのは母親じゃなくてただのバカ女だ。



ちーはポロポロ泣きながら家を飛び出した。



さすがに俺も可哀想って気持ちになってしまう。