傷×恋=幸

前の母親みたいに辛く当たられてんなら戻ってこいとも言えたのに…。




俺はどうすりゃいい?



なぁ、ちー…。



「俺の不安な気持ち…わかれよ…」

「わかってるよ。わかってるから…」



おもむろに靴下を脱いだちー。



ウソだろ…。



俺と同じタトゥーがちーの右足に入っていた。



名前の位置まで同じ…。



俺の名前…。



「望んで…ねぇよ…」

「麻衣子に電話して、クロ君に教えてもらったの。風都が入れた店…」

「いてぇだろ…」

「会えないより…嫌われるより痛くない」



ちーってバカだったんだって、初めて知った。



俺が入れたのと同じ…。



俺は利き足が左だから左に入れたけど…。



「並んだら繋がってるみたいだね」



なんて、涙目で言うちーを手放せる気が…全くしない…。



俺はこんなことさせるためにちーを好きになったわけじゃない…。



なんだか申し訳なさがこみ上げて…。