傷×恋=幸

難しい顔をした母ちゃんが洗い物の手を止めた。



「あたしも会う」

「へっ…?」

「風都が千衣ちゃんを守りたいように、あたしだって千衣ちゃんを守ってあげたい。なにかあったら…後悔したくないから」

「わかった。じゃ俺の面談の時間変えてもらうからその時に」

「あんたの面談…気が重すぎる…」



まぁな。



いいことなんか絶対言われるはずねぇもん。



やんちゃを『活発』と言われるくらいで。



俺はどうだっていいから問題はちーだ。



「ちー、三者面談のこと」

「あっ…」

「母親に会え」

「えっ…」

「ビビってんなよ。俺も母ちゃんもいるから。自分の気持ち、整理した方がいいんじゃねぇの?」

「風都…いる…?一緒に…?」



また不安になったちーを抱きしめた。



弱い…。



母親のことになると、ちーは一気におかしくなる。



「強気でいけ」

「強気…?」

「喋りたくねぇなら喋んな。ちーが帰る場所はここだから」



ちーは俺が守る。