あの日も季節が秋から冬に変わる、そんな寒い時期だった。


唯と出かけていると一枚のポスターが目に入った。


「へぇ、今日花火大会やるんだ?随分と季節外れだな」


それは隣の市で開催される花火大会のポスターで、


「本当だ。あっ、でも冬の方が空気が澄んでいて綺麗に見えるかも」


「ハハッ、なにそれ。星じゃないんだから」


そう言って笑うと唯は照れたように顔を赤くした。


「じゃあ行ってみる?今からならまだ間に合うし。ちょっと遠いけど、唯が良ければ」


「うん!行きたい!」


付き合ってからまだ花火を見に行ったことがない俺たち。


夏じゃないけど、まぁいいだろうと軽い気持ちで唯を誘った。