彼女も一見、わたしと似たようなタイプの大人しい女の子。


この図書館にいるときしか会話したことないけど、多分わたしと一緒であまり人付き合いが得意な方ではないと思う。


容姿だって特別可愛いとか綺麗とかそんなんじゃない。


だけどみんな彼女のことを知っている。


あの上原哲の彼女としてみんな彼女のことを知っている。


「梓ちゃん、久しぶりだよね?最近見かけなかったけど何かあったの?」


「あっ、えっと…風邪引いちゃって。休んでたんだ」


「そうなんだ。もう平気なの?」


心配そうにわたしの顔を覗き込む唯ちゃん。


「うん。大丈夫。たまに喉がイガイガするときあるだけでほとんど治りかけてるし」


「そっか。良かった。あっ!わたし良いもの持ってるよ!」


はい!とわたしにくれたのは、はちみつリンゴ味と表示されている長方形の形をしたのど飴で。


「あっ、あり、がとう…」


差し出されたのど飴を見ると何か書いてあって。


赤と黄色の明るいパッケージに黒のネームペンで【早く良くなるように】と書いてあったのか【よ】の字が半分で切れていた。