街は賑わっていた。
一至は途中で買ったクレープを摘みながら、一人で歩いていた。
テストは午前中で終わった。次で全部終わるだろう。
純貴と香奈はまだ講義…というかテストがある。午後の教科も取っているのだ。
だが一至はない。午前で終わって、なんか暇だな~と思っていたら、ここに辿り着いていた。
(まぁ久々に買い物するってのも有りだな)
一至はそう思い、食べ終わったクレープのゴミをゴミ箱に投げ捨てた。
好きな洋服屋に入って色々と調べる。一着、格好いいと思う服があった。
財布を取り出して、見てみた。手持ちはいくらだったっけ?と思ったのだ。
財布の中を見て、ある事に気がついた。
(――って金持って来てないじゃん!)
さっきクレープを買った時は札の方を見てなかったので気付かなかったが、今は分かる。五千円もない。
(…まぁ急だったしな。金の事考える余裕なかった)
財布を閉じる。残念だが店から出た。