署長から逃げるように、帰って来た私たち。 向かうのは、どうやら山下さん家みたいだ。 「いつも徒歩ですよね?何で車なんですか?」 「俺、車通勤だけど」 「でも、おにぎり貰った日とか」 他愛もない会話で場を持たす。 じゃないと、私の心臓が暴れてるのが、バレちゃう。 「…あぁ。修理に出してたから。 母親に貸したら、壊されてな」 「そうだったんですか…」 終わった―― 会話が、終わった――…。 …他に会話はっ!? いっそのこと、私、寝てしまいましょうか?