私はマンションを見上げて固まる。 今なら、まだ火が消せる確率は50%はある。 消防車が来るまで5分…いや、駅前が混むから、遠回りして8分弱。 「どうすんだよっ!?」 「消防車はまだなのーっ!?」 徐々に集まり出した野次馬が騒ぎ始めた。 …やるしかない…。 マンションを見上げて、覚悟を決めた。 私はハンカチを口元に縛り、マンション内へ走った。 「の、野神刑事っ!!」 沢塚さんの声を背中に聞きながら、1階のポスト前にあった消火器を抱えて3階建ての最上階の、女の人がいた部屋を目指した。