「ヤダ!ヤダヤダ!」 「仕方ないんだっ!」 署に戻ったら、私は兄貴から夜勤を言い渡された。 沼田さんがお通夜が入ったとかで、私が夜勤。 …疲れてるのに無理だぁっ! 「北斗、帰るよ!」 「…………1万やる」 …何ですと――ッ!? お年玉もくれなかったような兄貴が、1万円もくれるの?? いつかの5円チョコの間違えじゃなくて?? 私は喉をゴクリと鳴らしながら、兄貴へと振り返った。 兄貴は「ほれほれー」と、1万円札をピラピラさせてる。 「…迷うのかよ」 北斗の呆れ顔に私はハッとした。