「ヘルプご苦労さん!」 詰所に戻ると、隊長の桜山さんがソファーに座ってた。 私は「寝てなかったんですか?」と言いながら、市ヶ谷さんのデスクから救急隊員用の報告書を取り出した。 「市ヶ谷さん、入院してな」 「私はしばらく、救急ですか?」 「いや。朝には交代だし、補充員が来るから大丈夫だ」 桜山さんは「そんじゃ、おやすみ」と付け足し、仮眠室へ行く。 私は自分のデスクの上からポーチを取り、詰所の入り口の灰皿へと向かった。 消防士たる者、不始末で火災の原因となる煙草は、ご法度かも知れない。