「ねぇ、新藤くんて彼女いないってホントォ〜?」
甘ったるい香水の匂いに吐き気がした。
「………………」
俺は無視をした。
「新藤くんってさぁ〜会社一カッコいいって言われてるのに、彼女いないなんて珍しいよねぇ〜♪♪」
「だよね×2〜!!だったらあたしが彼女になってあげよっか!?」
は?
「あっ!ズルーイ!あたしもぉ〜」
「ちょっと!あたしよぉ!」
コイツら、何を勝手にほざいてやがるんだ?
俺は本気でウザくなって、あからさまに不機嫌な顔をした。
「きゃ〜!!その顔も素敵ぃ〜♪♪」
「ホントだぁ〜っ♪ヤバーイ!!」
キャッ、キャッと騒ぐ女ども。
――ガタンッ!
俺は勢い良く席を立った。
「えっ…新藤く……」
「おい、翔!」
「わりぃ、歩。これ、課長に渡しといてくれ」
俺は財布から一万円を取り出し、歩に渡す。