驚いた。
まさか彼女の方から俺に声を掛けてくるなんて思いもしなかった。
俺はケータイを開くと、入ったばかりの彼女の番号とアドレスを見つめる。
「……なんか夢みてぇだな」
俺はフッと微笑むと、ケータイをしまった。
「――あ、おい!翔!遅ぇじゃねーか!う〇〇か?」
席に戻るなり、歩はバカなことを聞いてきやがった。
――バシッ!
「ってぇ〜!お前ちっとは手加減しろよ!」
「お前がバカみてぇなことばっか言うからだろ」
俺は座ると再びビールを飲む。
彼女は…
いったいどういうつもりなんだ?
わざわざ課長の部下にアドレスを聞いてくるなんて…
もしかして俺以外にも聞いてたりすんのかな?
それとも部下のアドレス集めんのが趣味とか?
まぁ嫉妬したとこで彼女は課長のモノなんだしな…。
「「新藤くーん!」」
名前を呼ばれ、振り向く。
するとそこには、化けモンみてぇにケバい化粧をした3、4人の女がいた。
一応…先輩に当たるのか?
「……なんすか」
俺は無愛想に答える。
マジウゼェんだよな。
こういう女。