「…何ですか?」
俺は呼び止められるなんて思わなかったから、びっくりして彼女を見た。
「あ…なんか気分が優れなさそうにされたから…お手洗いに行かれたのでやっぱり気分悪いのかなって…」
彼女は遠慮がちに俺を見ながら話す。
やっぱり綺麗な人だな。
つくづくそう思う。
「いえ…大丈夫ですよ。わざわざ心配して下さってありがとうございます」
俺は彼女に微笑んだ。
あぁ…俺はホントに彼女のことが好きなんだ。
「そう…なら良かった」
彼女はホッとしたように笑みを浮かべた。
「じゃあ…失礼します」
俺は軽く頭を下げ、その場を去ろうとした。
「――あ、あの!良かったら…アドレス教えてくれないかしら…?」
へ?
アドレス?
「いいですけど…」
「ありがとう!あ、私は成瀬結菜よ。あなたは?」
「あ、俺は新藤翔です」
「新藤くんね。よろしく」
彼女はニコッと微笑んだ。
「よろしくお願いします」
俺は小さく頭を下げた。