思えば、その下野さんには会っていない。 だからなんで疑われるのかが分からない。 「……仲が悪かったです」 そう言って、小原さんは入口にいる人を指差した。 「あれが茜です」 その人は、黒髪のゆるいショートヘアで、ケータイをいじっていた。 今、仮にも勤務中なのに。 「茜は、いつもケータイを肌身離さないんです。それを若女将が注意して」 「ケータイを……」 「このやり取りは、ほぼ毎日のことでした」