そして30分後。 「……で、何かあったか?」 平山警部があたし達を見る。 「別に何も」 「あたしもです」 何もなかった。 床に落ちたカップ以外、普通の部屋だ。 「これじゃ分かんないよ……」 何か手掛かりはないの……? その時、 「……他殺だな」 悠が呟いた。 「「え?」」 あたしと平山警部がハモる。 そう断言できるの? 「何もない。つまり裏を返せば遺書も、毒の入った容器もないってことだ」 ……そっか。