この旅館は宿泊用の部屋と区別をつける為に、関係者用のドアは宿泊用のと違うタイプの鍵にしている。


「だけど返事がなくて……っ」


小原さんは今にも泣きそう。


そりゃそうだ。


目の前に、若女将の死体があったんだから。


多分それを思い出してしまったんだろう。


「で、無理矢理ドアを開けたらこうなった……と」


悠が続きを言った。


小原さんは黙って頷く。


「ふむ……。分かりました、仕事に戻っていいですよ。何かあったら報告を」


「……はい」


そして小原さんは部屋から出ていった。