「まったく…雄大ああ見えて絶対嬉しいんだぜ」
とりあえずあたし達の教室に入ると、叫心はすこしはにかみながらそう言った。
「小林も結構隅に置けないじゃん」
愛はくすくす笑いながら、自分の机へと向かって行った。
「長塚さんの積極的なとこほんと変わらないね」
残ったあたしと叫心はドアのそばで二人で話していた。
「あれって積極的なのか?」
「積極的だと思うな~」
あたしがそう言ったら、何故か叫心は"コホン"っと軽く咳払いをした。
「な…なに??」
「いや?俺は麗奈のほうが積極的だったと思うけど?」
ニヤっと笑いながらそう言う叫心の台詞は、あたしの中に叫心に片思いしてたときの自分を思い出させた。
「あ…あの時は…そ、そのっ…!」
なんだかあのときの自分がすっごく馬鹿らしくて、はずかしくて…気付いたら顔を真っ赤にして話してた。
「麗奈ちゃーん?顔真っ赤だけど?」
叫心はそう言って、あたしの頬をツンっと突付いた。
「きょ、叫心!」
あたしはもう恥ずかしさのあまり何を言ったらいいのか分からなかった。
「わー!ごめんって。俺すっげー嬉しかったよ」
「え?」
叫心から普段絶対聞けないような台詞が今耳を過ぎった。
「だーかーら!あのとき麗奈の方が積極的ですっげー嬉しかったって!」
そして、叫心は一言"何でいつも肝心なとこは一回で聞いてねーんだよ"と顔を赤らめながらそうつぶやいた。
叫心からそんな言葉が聞けるなんて思わなかったから、あたしの胸の鼓動はすっごく高鳴ってるまま。もうこの嬉しさを言葉では言い表せれない。
「あー、もうっ!恥ずかしい!教室戻るわ!」
「え、あ…うん!でもほんとにありがとうね…?」
「いーよ!普段ちゃんと言えない事が多いから…たまには言わないとなっ」
叫心はそう言って"じゃあな"とあたしに手を振りながら背を向けた。
その背を見ているとなんだか寂しくなって叫心に向かって叫んだ。
「叫心!…今日も教室で待ってるね…!」
あたしがそういうと叫心は"おう"と言って、あたしに向かって笑いながら大きく手を振り返してくれた。