行こ行こ、とはしゃぐバカップル。


 さすがに二人だけじゃぁね。

 

 せっかくの海だし、二人で行くのは少しむなしいと思うかも。


 ・・・あくまで、この二人なら。



「祥志、茜ちゃんと彩と祥志で行ってきなよ。」


 修と彩の顔が一気に祥志のほうに向いた。


 “茜ちゃん”という名前が引っ掛かったようで。


「祥志くん、茜ちゃんって?」

「水臭いですよ、彼女いるんなら紹介してくださいって。」


 ざまぁみやがれ。


 どうせ、あたしが休みだってこと教えたのもこいつだろうし、家に上げたのもこいつだ。

 しかも、あたしを起こしにも来ないで。


 ・・・仕打ちだ、仕打ち。


 と、悪魔の囁き。

 どんどん、ヤバい性格が表に出てくる。


 少しあたしのテンションも上がる。

 って、こんなことで、テンションあがっちゃいけないんだけど。


「彼女じゃねーし、俺もアイツも行かねぇし。」


 と、祥志。

 茜ちゃんをアイツ呼ばわりする祥志がウザい。