「ただいまー」 「お帰りなさいませ、智美お嬢様。どちらへ行かれてたのですか?」 「これ見てわかんない?」 あたしは血塗れの出刃包丁を執事の早川に渡した。 「はあ、敵討ちに」 「当たり前でしょう?まだまだ寛人と多美のことを悪く言う奴が山ほどいるんだから」 「お忙しいのですね、お嬢様」 「まあね」 あたしはケータイを手に取り答えた。 多美から留守電が入っていた。 そう言えばケータイ何でポケットに入れて行かなかったんだろう。