それからあたしは無事、退院しました。 そして今、雪佳とあたしの部屋でくつろいでいます。 「……あっ」 クローゼットの奥から、何かが出てきた。 絵本『水色王子とピンク姫』 「懐かしい……」 「何それ」 雪佳が絵本を見る。 「この絵本を見て、あたしは雪佳にピンをあげたんだよ」 そう言って雪佳の前髪を指す。 「へぇ」 「……確かに雪佳は王子様になったよね~」 まじまじと雪佳を見つめる。 「んじゃ春はお姫様だな」 「あたし、お姫様ってキャラじゃないし」