春田は顔が熱くなるのを感じながらも、必死で平静を装い徹也を見つめた。内心では、心臓が破裂するほど大きく脈打っていた。


それは、徹也も同じだった。


「い、いいですよ。だって、仕方ないですもんね?」


「え、ええ。これは不可抗力よね?」


「ですよね?」


『………』


互いに作り笑いを浮かべながら沈黙が流れたが、それを破ったのは徹也だった。


「あの、先生?」


「あ、はい?」


「家の人に連絡した方がいいんじゃないですか?」


「あ、ああ、そうね」


春田がバッグから携帯を取り出し、立ち上がろうとしたら、徹也がそれを手で制した。