「ねえ、福山君…」


「はい？」


「君は厚化粧の私と、スッピンの私と、どっちがいいと思う？」


春田は、恥ずかしそうに目を伏せながら徹也に問い掛けた。


春田はふと気付いたのだ。徹也との間の壁をわざわざ高くする必要はないのだという事に。
なぜなら、徹也となら深い仲になって良いのだから。


徹也とは、ただでさえ歳が９つも違うという、高い壁で隔てられている。それを更に高くするのではなく、逆に低くし、徹也に、というか二人で乗り越えたいと春田は思った。


「それは断然、今のスッピンの先生ですね。正確には、たぶん薄く化粧した先生がベストだと思いますね…」