「その靴じゃ歩けないですよ?」


「脱いじゃうからいいもん」


「そんな…。傷の手当もしないと…」


「これくらい平気よ」


「でも、その顔じゃヤバイですよ」


「顔?」


春田が振り向くと、徹也は春田の顔を見てプッと吹いた。


「な、何よ、失礼ね!」


「すみません。でも先生の顔、化粧が溶けて凄い事になってるんですよ? とてもじゃないけど、人に見せられたもんじゃないです」


「そんなに酷いの?」


「はい。鏡で見ますか? 見ない方がいいと思うけど」


「見たくないかも…」


「拭き取ってあげますから、中に入ってください」


「うん」


(格好悪いけど、帰らずに済んでよかった…)