いけない保健教師〜気になる不良転校生〜

「ゴホン。どうしたのかな?」


“ゴリラ”は偉そうに腕を組み、繋いだままの春田と徹也の手に視線を送っている。


(チッ。面倒臭い人に見つかっちゃったなあ…)


“ゴリラ”のわざとらしい咳ばらいと視線を見て、春田は徹也の手を放した。


「福山君が、頭痛がすると言うので鎮痛剤を渡したところですの」


「頭痛? どうせ仮病でしょう。騙されちゃダメですよ、春田先生」


「な、何て事を言うんですか!?」


「なあ、そうなんだろ、福山?」


そう言って“ゴリラ”は徹也を睨みつけ、徹也も無言で“ゴリラ”を見返した。二人の目からは火花が飛び交い、一触即発という雰囲気だ。


身長は二人とも同じくらいだが、横幅では全身が筋肉で出来ているような“ゴリラ”の方が勝っている。
もちろん、容姿では徹也の圧倒的勝利だが。