いけない保健教師〜気になる不良転校生〜

「ねえ、私が分かる?」


無表情の徹也に、もう一度春田が問い掛けると、徹也は困ったような顔をした。


顔に表情が現れたのは良い傾向と言えるが、困った顔では春田も困る。


「私の事、忘れちゃったのね?」


涙で潤む目で徹也を見つめる春田に、やはり困ったような顔を向け続ける徹也だった。


春田は徹也に背を向け、手の甲で涙を拭きながら看護士を呼びに病室を出ようとした。すると…


「先生、どこへ行くの?」


春田を呼び止める徹也の声を、背中で聞いた。

春田は驚いて徹也を振り返った。


「私を覚えてくれてたの?」


「当たり前じゃないですか…。と言っても最初はど忘れみたいにボーッとしてたけど。それに先生、化粧がいつもと全然違うから…」