「何ですと? そんな話は聞いてませんぞ。嘘はいけませんなあ」


「嘘ではありません。誰にも話してないだけです」


「ほお…、もし本当なら、ボクの前にそいつを連れて来なさい」


「そ、そんな事、する義務はありません」


「連れて来なければ信じませんが、いいんですかな?」


「う…。わ、分かりました。今度会っていただきます」


「いいでしょう。どんな男か楽しみですな。ま、ボクより強い男なんて、まずはいないでしょうけどね」


“ゴリラ”はガハハと笑いながら保健室を出て行った。


(その場凌ぎにあんな事言っちゃったけど、どうしよう…。お兄ちゃんに頼んでみようかなあ。それにしても“ゴリラ”って、男の価値は強さだけって思ってるなんて、バッカみたい!)