【短編】プチストーカー


「七岡、消しゴムかしてくんない?」


いきなり振り向いて、そう言われる。


「え、あ…えっと。 どうぞ!」


「サンキュー」


ああ、もっといい消しゴム持ってればよかった。


「助かった、ありがとう」


そう言って、消しゴムを返してくれる。

…この消しゴムは、宝物にしよう。
三谷くんを眺めたり、消しゴムを眺めたりしていると、勉強会が終わった。


「あーっ、つっかれた! 早く体育館行ってバスケしてぇ」


そう呟く三谷くん。


「あんた、テスト本当に大丈夫なワケ?」


「大丈夫じゃねーけど、今更やっても無駄だと思ってるだけ」


そ、そうなんだ…。それも逆にスゴいな。


「でも、追試とかになると、夏休みの前半、学校に来ないといけないんだよ?」


「ゲッ! マジで?」


「マジで。」


絵里と三谷くんの会話を、ただ聞いてる私。