「三谷、あんた居眠りしてて強制参加だって? かっこわるーっ」
と言う絵里。いいなあ、気軽に話しかけられるなんて。
「うるせえよ」
振り向かず、そう言う三谷くん。
だけど、しばらくしてこっちを向いた。
「七岡も、参加すんのか?」
イキナリ話しかけられて、驚いてしまった。
「なんか、勉強苦手そうには見えないと思ってさ」
え!?私ってそんなイメージなんだ!
「えっ、うっ、うん! 前回よりもいい点狙いたいなって思って!」
「へえ、偉いんだな」
…偉い!?三谷くんに、偉いって、言われちゃったー!
私の頭の上では、二匹の小さな天使がラッパを吹いて円をかいて回っている。
…イメージだけど。
「ちょっとー、私も偉いでしょ?」
「お前はなにか企んでだろ?」
「失礼な! ただの倖田先生目当てなんだからね!」
「ま、そうじゃないかと思ってたけどな」
そう言ってケラケラ笑う三谷くん。
こんな至近距離で三谷くんの笑顔が見られるなんて。
私はひとり、幸せにひたっていた。
倖田先生がやってきて、授業が始まる。
ほとんどの生徒は倖田先生に夢中で勉強してる感じでは無い気がする。


