【短編】プチストーカー


「あと1人って誰ですか?」


そう言ったのは、絵里だった。


「三谷だよ。 三谷一哉」


…な、なんですと!?


私は聞き違いをしているのかと思ったが、先生が見せてくれた名簿には、はっきりと三谷くんの名前があった。


「さっき居眠りしてやがったから、テストもヤバいんだろうと思って誘ったんだよ」


グッジョブ!先生!そして絵里ちゃんもグッジョブ!!
私は放課後が楽しみで、残りの授業は耳に入らなかった。


そして、放課後ウキウキ気分で教室に向かう。三谷くんの姿は、無い。


「三谷のヤツ、すっぽかす気なんじゃない?」


隣に座った絵里がそう言う。


「三谷くんはそんな事しないよ~」


「するよ。 しそうじゃん」


しないよ。だって、ずっと見てるから分かるんだもん。


三谷くんは、きっと来る。根拠は無いけど。


席もだいぶ埋まってきて、もうそろそろ時間。


絵里は『やっぱり来ないじゃん』なんて呟く。


その時、ドアが開いた。
不機嫌そうな顔をして、前の席に座る三谷くん。


不機嫌な顔もかっこいい!なんて思ってる私を絵里がニヤニヤして見ているのに気付いた。