【短編】プチストーカー


「えっと…テスト範囲は、理解してる?」


「いや、全然」


キッパリと言う三谷くん。


「じゃあ、これがテスト範囲のメモなんだけど、うつす?」


「おう、まずそれからだよな!」


ペンをとって、真剣に移し始める三谷くん。


だ、大丈夫かな。
私、字汚いけど…読めるかな。


「はい、サンキュ」


そう言ってメモを返してくれた。


「えっと…日程では、一日目の一時間目が国語だから、国語からやっていこっか」


「おう、どんとこい!」


国語の教科書を開く。


「あ、そうだ。 漢字の読み書きなんだけど、この辺が出るって先生が教えてくれたから、家で書きとりして覚えてね」


「え! いつ言ってたの?」


「えっと…昨日の国語の時間、かな」


三谷くん、寝てたもんね。
その時。私がそれを知ってる、なんて三谷くんは知らないかな。


三谷くんは一生懸命、私の話を聞いてる。


私は緊張しちゃって、うまく説明できてるのか不安だけど…。


それから毎日、三谷くんは私と一緒に勉強をした。