シュークリーム

「む、村上君っ……!」


振り返って声を上げた私に、村上君がキョトンとした表情を見せた。


「え? 俺、そんなに驚かせた?」


「あっ、違うの! ちょっとボーッとしてたから……」


「だろうな。お前、手は動いてるのに、顔は完全に放心してたぞ」


「嘘っ!?」


「本当」


そう言った村上君は、自分が持っていたファイルに視線を落としたあと、私を見た。


「ちょっと相談があったから飲みにでも誘おうかと思ってたけど、やっぱり今日はやめておくよ」