「しかし、相変わらずモテるわよね~、藤崎君。成績優秀でイケメン、性格もよくておまけに、剣道のインハイ優勝者だもんね~」

「そ、そうだね……」

 そうよ、わたしの幼なじみこと藤崎冬馬(ふじさき とうま)は凄い。
 何が凄いって、あんな可愛い顔して、剣道の達人なんだから。
 不良達ですら、冬馬には逆らえないくらい強い……

「やっぱ、欠点とかって1つも無いの?」

「え? あ、ああ、うん」

 実を言うと、冬馬はオタクである事を学校では隠している。
 だから知っているのは、わたしだけ。
 学校に居る時は、いつも爽やかな笑顔を浮かべて愛想を振りまく、最強の優等生君なのだ。
 ……家でもそうしてくれれば良いのに。
 
「はぁー、うらやましいわね。あんなイケメン優等生と1つ屋根の下なんて、幸せ者ね~美羽!!」

「……そうだね」

 でも、オタクはやっぱ嫌だけど。
 それが、わたしだけ知っている冬馬の秘密と思うと……少し嬉しい。