「痛って~~~、なにすんだよ、美羽!! 朝は「おはようっ、お兄ちゃん!!」って起こしてくれって言ったじゃん!!」

 布団を捲ると同時に、床に転げ落ちた冬馬が鼻をさすりながら、わたしに言う。

「やるわけないでしょ!! 気持ち悪っ!! だいたい、なんなのコレ!!」

「それは、萌え萌えビーナス・ルミたんの限定メイド服だ。あ、もしかして……着てくれんのか?」

「ばかっ!!」

「ぐはぁ!!?」

 スクール水着だの、メイド服だの……
 冬馬はそれらをよく、わたしに着せようとする。
 ……昔の冬馬だったら、着てあげても良かったのにな。

「……って、何、考えてんのわたし!?」

「なに1人で、ツッコミ入れてんのお前?」

「なんでも無いっ!! それより、早くしないと学校遅れるよ」

 毎朝、毎朝……
 こんな、感じでわたしの1日は始まる。

「あれ、そういえば? 机に飾ってあったトロフィーはどうしたの?」

「ああ、フィギュアの置き場所に邪魔だったから、物置に突っ込んだ」

「はぁ~~……だめだこりゃ」

 いつからか、こんな風になってしまった幼なじみ。
 でも、今日は4月1日、新学期。

「冬馬……」

「え、なに?」

「わたしが、冬馬をもとに戻してあげるわ!!」

「……え?」

 そう、今日から高校2年生。
 この日を境に、わたしは幼なじみを変える決意をした。
 名づけて、幼なじみ改造計画だっ!!