「春風の隣が空いてるな。あそこに座ってくれ」

「はい」

 げっ、わたしの隣。
 先生が空いているわたしの隣の席を指さした途端、女子達のキツイ視線が向けられた。
 ……おまけに。

「……チッ」

 なんで恵子まで舌打ちするの!?
 冬馬は……
 わたしは冬馬の方をみた。
 めっちゃ、睨んでる!?
 ……でも、嫉妬してくれてるなら、ちょっと嬉しいかも。

「よろしくね、春風さん」

「あ、うん。よろしく」

 転校生の崎山くんは、イケメン笑顔で、笑う。

「じゃあ、一時間目は体育だったな、みんな早く準備しろよ」

 先生はHRを終え、教室を出た。
 その途端……

「崎山くん!」

「崎山くんっ!」

 女子達は一斉に崎山くんの下に駆け寄って来た。
 ……その中に、恵子もいる。
 恵子って、こういう人がいいんだ……


 そのまま、一時間目の体育で教室移動をするまで、この騒ぎは収まらなかった。