「なにすんだよ、美羽たん……」

「たん。付けないで!!」

 ああ、オタクじゃなかったら……
 ドキドキするのに……
 今の冬馬に、ムードなんて、あったもんじゃない。

「罰として、昼ご飯、奢ってね」

「おい、罰って……」

「いいよね!!」

「……うん」

 昔から、冬馬は強いくせに……
 わたしには優しくて、気が弱い。
 そんな所……可愛くて、わたしは好き。

「で、何処に遊びに行くんだよ?」

「そうだね~……あ、そうだ。映画とかは?」

「あ、いいな。じゃあ俺……」

「アニメ映画は無しだからねっ!」

「……わかった」

 ちょっと、しょんぼりする冬馬も可愛いっ。
 心の中で、そう思いながら、わたし達は映画を見に、街に出かけた。