いつの間にか話は途切れてしまって、車内は静かになった。


 うわっ、どうしよう。何か喋って場を繋がなくては。


 …何を喋っていいのかわかんねえ。


 俺の引き出しには何の話題も入ってなかった。


 「ねえ、ヒデ君。」


 気まずい沈黙を破ったのは望さんの方だった。

 …気まずいと思ってたのは俺だけか。

 とにかく、情けないが望さんに助けられた感じになった。
 

 「…はい、何っすか?」

 返事がつい、弱々しくなる。
 

 「…本当にチカちゃんと付き合ってないの?」


 「…!!」

 俺はびっくりして背中が起き上がってしまった。


 横で運転している望さんも俺の反応の良さに驚いたようだ。


 「そんなに驚く事聞いたつもりじゃないんだけど。」

 「…いや、びっくりしますよ。そんな事聞かれると思ってないし。」


 まだ、疑われてたんだな。てっきり疑いは晴れていると思っていたのに。