次の日の学校の帰り道私は祭り会場の前を通った。

なんのかわりもない笹の木。

一番上でなびいている青い短冊。

「………え?」

何か違う。

「おじさん脚立かして!!」

「里奈ちゃん?脚立ならそこに…」

「ありがとッ!」

私は急いで脚立をあがった。

私の付けた青い短冊。

黒い文字の下に黄色い文字。

“ただいま”

私は黒いペンしか使ってない。

……じゃあこれは?

懐かしく感じるこの文字。

「康平くん……」

涙が出た。

私は家に走って帰った。

康平くんが帰ってきた
康平くんが帰ってきた
康平くんが帰ってきた!

嬉しくてたまらない。

「誰か来なかった!?」

リビングに飛び込むとお母さんは驚いた顔をした。

「さ…さっき男の子が来たわよ?祭りの神社で待ってるって」

「ありがと!」

「あ、ごはんはーっ?」

お母さんの質問にも答えずに私はまた祭り会場へと走りだした。

石段を駆け上がって奥へ奥へと…

……男の子がいた。

神社のお社に寄り掛かって。

大きくしっかりとした体。

大人びてしまったが面影がしっかりと残っている顔。

「康平くんっ…!」

「里奈っ」