モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語




「遥!」

健二の悲鳴にも似た叫びが響いた。

永田が目を見開く。

ドンッ

「っキャ!」

衝撃音がなった。

自転車は体制を崩し、そのまま横に倒れる。

乗っていた海が投げ出され、遥にぶつかり双子はそのまま倒れこんだ。

「遥!マネージャー!」

永田は慌てて駆け寄る。

その他の部員達にも騒ぎが伝わり、焦りが広がる。


「っ、はるか、遥!」

海は慌てて彼の上からどくと、呼びかける。

遥は気を失っていた。

倒れるときに頭を地面に打ち付けたらしく、ツー、と血があふれている。


「健二以外の生徒はそのまま合宿所に戻れ。今すぐ八木先生に伝えてきてくれ。」


一大事だと察した永田は、冷静に指示を出すと部員達は返事をして

急いで戻っていった。

荷物はすべて合宿所にあるために携帯がない。

連絡手段がないのだ。

頭を打っている彼をむやみに動かすのは危ない。


「遥!しっかりしろ!遥!」

健二は呼びかけるが、彼は応答しなかった。

そんな状態の片割れを見て、海の瞳に涙がたまり始める。


「っ・・・ごめん、ごめんなさい!」

「マネージャーのせいじゃない。その自転車が故障していることを言わなかった

俺たちも悪い。」

永田は海を気遣い、そう告げたが彼女は納得がいかない表情で

遥を見つめていた。