モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


「は?」

冗談やめろよなあ~、と健二は笑う。

「いや、これ海。」

遥が当たり前のように答えた。


「・・・え?同性同名じゃなくて?」

「だからそうだって。」


どこからどう見ても海だろ、とさも当たり前のように答える遥。

健二は大きく目を見開いた。

「ぇえええええええええええええ!?」

「うるさい!」

急に大声をだした健二に遥は怒鳴る。

「お、おまっ、お前、マジで、地味・・・じゃなくて、筧さん?」

まだ半信半疑のようだ。

海は頷き、そして鞄の中から生徒手帳を取り出して見せた。


「合宿の臨時マネージャーになったから・・・よ、よろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げる彼女を、まだ信じられないという表情で見る。

健二の叫びを聞いた部員は なんだ、なんだ? と言って集まってきた。


「・・・ハァ。」

遥は今日初めてのため息をついた。










「遥くーん!」

おはよっ!と明るく挨拶する理子に遥も おはよう という。

「理子!俺には?」

「あ、いたんだ?おはよう健二くん。」

今気づいた、と理子は言う。

不機嫌になった健二が遥に絡み騒ぎだす。


「・・・あれ?あなたは・・・。」

理子は海を見て不思議そうな表情を見せた。

「こないだ、冬樹君と一緒にいた子よね?」

「・・・実は、筧海なんです。合宿のお手伝い頑張りますので、

よろしくおねがいします。」