夜、家族そろっての夕食の時間に遥は話を切り出した。
「俺、明日から合宿なんだけど、」
「あらいいじゃない。頑張ってきてね。」
「いや、頑張るけど・・・あのさ、海も臨時マネージャーで参加することに
なったから。」
さらっと告げる遥。
母親は え? と不思議そうな表情を見せる。
「海は停学中だろう?」
黙っていた父親が口を開く。
「特別に許可がでたんだ。」
そうなんだ、と母親はふふふと笑う。
「海も、頑張ってくるのよ。」
部活入っていないんだから、たまには色々な人とかかわりを持った方がいいと
母親は言った。
簡単に許してくれたのが嬉しくて、海は笑顔で頷いた。
そして次の日、
遥と海は朝早くに家を出た。
6時に学校に集合だったからだ。
「あ、遥ー!」
バスが停まっている場所までいくと、健二が声をかけてきた。
朝から元気な親友に遥はついていけなくなる。
「・・・おはよ。」
「お前眠そうだなー。
・・・ってか、そちらのお嬢さん誰だよ。」
遥に似てる!美人!めっちゃ可愛い!と声を張り上げる健二。
海はきれいに髪を整えているために素顔がはっきりと見える状態だった。
健二の叫びでその場にいた部員のほとんどが海へと視線を向ける。
「え、あの・・・筧海です。」
彼女は顔を赤くして、俯きそうになりながらつぶやいた。


