モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



次の休み時間。

「遥くん!メールみたよ!」

隣のクラスから理子が来た。

「・・・おう。」

一瞬、変な焦りを感じてドキリと心臓が高鳴る。

ちらりと健二の様子を見ると不思議そうな表情で遥のもとにきた。

「なんの話してんの?」

「明日、部活で合宿あるでしょ?それの臨時マネージャーを探してるんだけど

中々見つからないから遥君に協力してもらったの。」

ね、と遥に笑いかける理子に彼はひきつった笑いを見せた。

「理子ー、俺にも頼れよー。」

「なんで健二君に頼らなきゃいけないのよー。」

あたしは遥君に頼るの、という。

すると健二からジトー、とした視線が向けられた。

「な、なんだよその目。」

「お前には地味がいるだろ。理子にまでその色気向けるなよ!」

「色気ってなんだよ!それに向けてねえし。」

「健二君、遥君に変なこと言ってないでようがないならあっちいってよ。」

邪魔しないで、と理子は敵意がこもった視線を向ける。

遥の腕をつかみ、健二を見る彼女を見て冷や汗が流れる。

これ以上ややこしい状況になってほしくない。

「っ~遥!」

「は?」

突然名前を叫ばれ、驚いて健二を見る。

「合宿中、俺と勝負しろ!」

「え?」


「絶対に、合宿中に理子を俺の彼女にする!」


「・・・いや、俺に宣言されても。」

遥はため息をついた。

とうの理子は あんたには絶対無理、 と毒づいている。


「・・・ハァ、」

「大変そうだね、遥。」

「冬樹・・・。」

「合宿楽しそう、その臨時マネージャー、俺もしてみたいな。」

ダメ?と理子に首をかしげる冬樹。

それを見て顔を真っ赤に染めた彼女は 全然いいよ! と声を張り上げた。