「よし、先生が聞いてやろう。
筧は根は真面目だからな。」
遥からの推薦もあるし、と顧問の八木は笑った。
遥は嬉しくなり、八木に満面の笑みを向けた。
「ありがと!」
「お、おう///」
可愛らしい遥の笑顔に思わず八木は顔を赤く染めた。
そんな様子の八木に気づくことなく、じゃあよろしくな!と言って
職員室を出て行った。
(・・・遥の奴、あんなに可愛かったか?)
ドキドキし始めた胸に八木は落ち着かせるように息を吐いた。
遥は歩きながら理子にメールをうっていた。
マネージャー、どうにかなるかもしれないと伝えたのだ。
「遥、おはよう。」
「あ、冬樹。」
「海ちゃんと仲直りできた?」
「は?」
突然の言葉に、遥はメールを打つ手を止めて冬樹を見上げる。
「どういう意味?」
「昨日海ちゃんと電話してたんだ、遥の事だから海ちゃんと喧嘩してるんじゃ
ないかと思ってね。」
図星?と可笑しそうに遥を見る彼に うるせーな と吐き捨てる。
「まあまあ、コレで貸し借りなしってことでいいだろ?」
「貸し借り?」
「一応、昨日、俺を庇ってくれたわけだし・・・。」
ぼそりとつぶやいた冬樹に遥はにやりと笑う。
「んなの、気にしなくていいのに。お前にも可愛いとこあるんだなー。」
「俺はただ、借りを作っておくのは嫌だっただけなんだよ。」
勘違いしないでくれるかな、と冬樹は言う。
「俺、冬樹の事勘違いしてたかも。改めてよろしくな。」
「あー、うん・・・なんか、遥変わったね。」
「そうか?」
「うん、明るくなった。」
そっちの方がいいよ、と冬樹は笑った。


