一階へと向かうと、両親は二人とも仕事へ向かう途中だった。
「遥、もう学校で問題は起こさないでね!」
「ハイハイ。」
母親の言葉に適当に頷けば困ったような表情を向けて、
家を出て行った。
「遥、ごはんできてるよ?」
「あ、うん。・・・って、海が作ったのか?」
「うん。謹慎中は、私、家事しようと思って!」
お母さんの手伝いにもなるし、と笑う彼女は可愛かった。
「・・・うみー、」
「ん?」
お前可愛くなりすぎ!と彼女をぎゅうっと抱きしめる。
「わっ!」
前まで遥はこんなことをしてこなかった。
彼も彼で変わり始めているらしい。
「は、遥!恥ずかしいよ!///」
海は顔を真っ赤にして抵抗する。そんな彼女を見て渋々解放すると
朝食を食べ始めた。
「なんか、遥、甘えん坊になったね。」
「っぶ!」
思わず飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになった。
「へ、変なこと言うなよ!」
「だって、前まで私にくっついてこなかったでしょ?」
嬉しいなあ、と微笑む彼女。独占欲が湧きあがる。
遥はそれに気づかないふりをして、洗面所へと向かい、顔を洗った。
急いで着替えて鞄を持つと家を出る。
「いってらっしゃい!」
「・・・いってきます。」
手をふって見送ってくれた海に感謝しつつ、ニヤけそうになる表情を必死で
我慢して家を出た。