モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



海は心から変わろう、ともう一度強く思った。

目の前の事から逃げない。

ぐ、と拳を握りしめる。


バタン、

部屋を出て、リビングへと向かった。


「遥!」

自分でも驚くくらいの大声がでた。

ソファに座っていた遥は姉の声に反応し顔をあげる。


「さっきは、ごめんね!私、今度こそちゃんと変わるから!

遥に認めてもらえるくらいに強くなるから!」

「・・・海?」


「もう一度、私と仲良くしてくれませんか!」


少し言葉が可笑しかったかもしれない。

けれど海は本気だった。

ぽかんとした遥の目の前までいき、海はボサボサだった前髪を手首につけていた

ゴムで結ぶ。

隠れていた素顔が見えた。

さすが双子だ。遥ととてもよく似ている。


「っ・・・。」

それを見た遥の表情が歪んだ。

「馬鹿じゃねえの・・・。」

「・・・馬鹿じゃないもん。」

「馬鹿だよ、ホントに。」

ぽたり、

遥の瞳から涙がこぼれる。

「え!?遥!?」

海は驚き目を見開いた。

彼女が自ら、今度は本気で変わろうとしている。

酷い態度をとっていた自分に謝罪してきたのだ。

「・・・海、俺こそ、ごめん。」

「なんで遥が謝るの?」

「・・・俺、お前に、酷い態度とったし・・・。」

「遥は悪くないよ。」

海はそう言って笑った。ふいに、愛しい気持ちがこみ上げてくる。


「わ!」

遥は海をぎゅうっと強く抱きしめた。

「は、遥?」

すべてがどうでもよくなってしまった気がした。

彼女しか瞳にうつらない。

「俺、海がすっげー好き。」

そして、海が予想もしていなかった言葉が飛び出した。