<本人から直接聞きなよ。>

冬樹はそう言ったが、海は言葉を詰まらせる。

「・・・無理だよ、」

<どうして。>

「遥に、嫌われてるから・・・。」

海は、こんなことをいうつもりはなかった。

しかし、勝手に言葉がでてくる。

冬樹は ふう、 とため息をついた。

<本当にそう思ってるの?>

「・・・うん、」

<ま、俺としてはそう思っててくれたほうが嬉しいんだけど。>

「え?」

意味がわからない、と海は言うが冬樹はそれを聞き流し言葉をつづけた。


<海ちゃん、本当は財布なんか盗んでないでしょ?>

「冬樹くん・・・?」

<はっきり言って、海ちゃんがそんな度胸あるとは思えないし、>

「・・・。」

<俺は君の味方だから、頼っていいんだよ?>

一番ほしかった言葉をくれた。

海の胸は高鳴る。憧れを抱いていた冬樹が、自分を認めてくれたような気がした。


「・・・ありがとう。」

違う意味で泣きそうになった。


「・・・私、頑張る。」

<うん、また、話せる時が来たら俺に話してね>

「うんっ・・・。」

冬樹自身も、次第に丸くなっていっている。

海は彼に心を許しかけていた。


<じゃあ、またね。>

「本当にありがとう。」

もう一度礼をいい、通話を終了した。

勇気がでた海は、深く深呼吸して部屋を出る。

遥としっかり向き合おうと思った。