モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



暗い感情が胸を支配していく。


(・・・死にたい。)


海は無意識に自分の首に触れた。

「っ、」

ぎゅ、と少し力をこめただけで苦しい。

すぐに首から手を離し大きく深呼吸する。

死ぬ勇気もなかった。

自分の弱さに海は涙を流す。

相談できる相手もいない。

両親に頼って、心配をかけるわけにもいかないのだ。

停学になったことをどう説明しようか悩んだ。

「遥・・・。」

双子の弟の名前をつぶやく。

無償に寂しくなった。


♪~、♪~、


突然、滅多になることのない海の携帯が鳴る。

驚き慌てて携帯を見ると

三守冬樹からの着信の文字。


海は目を見開いた。


おそるおそる通話ボタンを押し、携帯を耳に近づける。

「・・・もしもし、」

声は自分でも驚くほどに震えていた。

<今、遥そっちにいる?>

「う、うん。」

<遥、今日問題起こしたんだよ。>

「・・・え!?な、何したの!?」

<喧嘩。>

海は大きく目を見開いた。

だから遥も帰宅が早かったのだ。

「な、何があったの?それに冬樹君、今授業中じゃないの!?」

<まあ、いろいろとね。色々あったあとだし、授業出る気になれなくてサボったよ。

今屋上。>

「さ、サボったの!?・・・ねえ、いろいろとって何!?遥、大丈夫なの!?」

そういえば彼は怪我をしていた。

自分の事ばかりで弟を気にかけることができていなかった。

深く後悔した。