複数の生徒が教師に知らせに職員室へと走る。
「最低~。」
「私じゃないよ!」
教室には信じてくれる者はいない。
冬樹は目を見開いて海を見ている。
「海ちゃん、嘘だよね?」
海はもちろん違うと言おうと口を開いた。
しかし近くにいた女子生徒がぼそりとつぶやく。
「遥君と冬樹君が、どうなってもいいの?」
ドクン、
どういう意味か分からない。
海は大きく目を見開いた。
「海ちゃん?」
冬樹は不思議そうに彼女を見る。
「最近、あの二人可笑しいし、はっきりいって最近飽きてきたんだよね~。
だからちょっと痛い目にあってもらおうと思ってんの。それが嫌なら、盗んだこと
認めろ。」
低いドスの聞いた声で海を脅す。
女子生徒は本気だと悟った。
「・・・。」
海は否定せず、じっと冬樹を見つめる。
「まさか、本当に?」
「っ・・・。」
彼は否定しない海を見て、本当に彼女が盗んだのだと思ったらしい。
嘘だろ、と軽蔑するような目で海を見た。
「筧、ちょっと来なさい。」
すぐに教師が来て、海を呼ぶ。
分かってんだろうな?と、女子生徒は釘をさすとクスクスと笑った。
戸惑いながらも教師についていく。
開いている特別教室で、教師と海が向き合う。
「本当にお前が盗んだのか?」
「・・・。」
じわりと涙が瞳に浮かんだ。
否定しない彼女を見て教師はため息をつく。
「筧海、否定はしないのか?」
「ごめ、なさい。」
認めた海を見て、教師は驚く。
そして今すぐに職員会議を開くと言った。


