モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


バタン、

自室にこもった海は表情を歪ませた。

本当は、自分は盗んでいない。

しかし、これは遥の為でもある。

海は学校で起きたことを思い出した。





遥が冬樹と保険室に行った時だった。

「あーあ、もとはと言えば地味のせいじゃない?」

「あたしも思ったー、最悪ー。」

数人の女子生徒が海の悪口を言い始めた。

海は何も反論せず、それに耐える。

「責任とれって感じー。」


ガラ、

「全員席につけー。」

その時は教師が来たために何も起こらずに終わったが、

次の休み時間に事件が起きた。

海がトイレに行って、帰ってきた時だった。

自分を見てクスクスと笑うクラスメイトに違和感を感じながらも

鞄から次の授業の教科書を取り出そうとしたかった。

「・・・?」

身に覚えのないモノに首をかしげながらも鞄から取り出す。

「!」

それは財布だった。

自分のものではない。

4つ入っている。

「えっ・・・。」

海は思わずあたりを見回した。

その様子を見て、女子生徒が声をあげる。

「ちょっと見てよ!地味が財布持ってる!」

「あ、アレあたしの!!なんで地味がもってるの!?」

信じらんない!!と叫びだす。

「何盗んでんだよ地味!」

「誰か先生に言ってこようよ。」

バタバタと騒ぎ出す教室。海は戸惑う。

「ち、違うよ。」

私じゃない、と呟くがそれはほかの生徒に聞こえていなかった。