バタン、
自室にこもった海は表情を歪ませた。
本当は、自分は盗んでいない。
しかし、これは遥の為でもある。
海は学校で起きたことを思い出した。
*
遥が冬樹と保険室に行った時だった。
「あーあ、もとはと言えば地味のせいじゃない?」
「あたしも思ったー、最悪ー。」
数人の女子生徒が海の悪口を言い始めた。
海は何も反論せず、それに耐える。
「責任とれって感じー。」
ガラ、
「全員席につけー。」
その時は教師が来たために何も起こらずに終わったが、
次の休み時間に事件が起きた。
海がトイレに行って、帰ってきた時だった。
自分を見てクスクスと笑うクラスメイトに違和感を感じながらも
鞄から次の授業の教科書を取り出そうとしたかった。
「・・・?」
身に覚えのないモノに首をかしげながらも鞄から取り出す。
「!」
それは財布だった。
自分のものではない。
4つ入っている。
「えっ・・・。」
海は思わずあたりを見回した。
その様子を見て、女子生徒が声をあげる。
「ちょっと見てよ!地味が財布持ってる!」
「あ、アレあたしの!!なんで地味がもってるの!?」
信じらんない!!と叫びだす。
「何盗んでんだよ地味!」
「誰か先生に言ってこようよ。」
バタバタと騒ぎ出す教室。海は戸惑う。
「ち、違うよ。」
私じゃない、と呟くがそれはほかの生徒に聞こえていなかった。


