モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



遥は職員室を飛び出し、教室へと向かった。


「あ、遥。一緒に帰ろうぜ。」

健二は丁度帰るところだった。

「ごめん健二!俺先に帰る!」

「え?遥?」

遥は健二の横を通り過ぎ、鞄を引っ掴むと走って行ってしまった。


「・・・何急いでんだ?アイツ」




遥の頭の中は海の事でいっぱいだった。

彼女の事だ、理由があるに違いない。




バタンッ!

家につくと、玄関のドアを乱暴にあけて入った。

「海!」

家にいるはずの双子の姉の名前を呼ぶ。

「海、いるんだろ!」

ガラ、

リビングに入ると、ソファでうずくまっている海を見つける。

「おい、お前停学ってどういうことだよ。」

「え?は、遥・・・なんでこんな時間に?」

「俺の事はいいから、答えろよ。」

何があった?と遥は言う。

すると彼女はポロポロと涙をこぼした。

「ご、ごめんなさいぃ・・・。」

「それじゃわかんねーだろ!」

無意識に声が大きくなる。それにビクっとなった海はさらに涙をこぼした。

「わ、たし、遥に・・・嫌われたかと、思って・・・。」

ひっく、としゃくりをあげながら一生懸命に話す。

確かに自分は海の事を忘れようとした。

関わらないようにしようと努力したが、やっぱり気持ちを抑えきれない。


「・・・お前なんか、嫌いだよ。」

遥は冷たく言い放つ。

「ご、ごめん遥・・・私、何か、した?」

「今はそのことはどうでもいいだろ、何があったんだ?」

一応、家族だし、気になるだろ。とつぶやく。

すると海は重々しく口を開いた。