教師は一人ひとりに作文用紙を20枚ずつ渡した。
「明日までに書いてきなさい。今日はもう家に帰れ。
自宅謹慎だ。」
「げ。」
「ありえねえ・・・。」
文句を言いながらも、生徒達は指導部をぞろぞろと出ていく。
しかし、遥は動かなかった。
それに気づいた健二が声をかける。
「遥?」
「先行ってて。俺、聞きたいことあるから。」
「・・・うん、わかった。」
健二は気をきかせて先に戻る。
「どうした?筧。」
「さっき、一日に二度問題が起きたって・・・、何かあったのか?」
「敬語を使いなさい。・・・一人停学になった奴がいてな。」
「停学?」
「同じクラスの筧海だ。知ってるだろ?」
「え、」
遥は絶句した。
海は問題を起こすような奴じゃない。なのに、どうして・・・?
「お前の頬の怪我の原因を作ったのも筧海だろう?」
「違う!」
「どうせ庇っているんだろう?・・・説明すると長くなるんだがな、
お前が保健室に行った後、筧海はクラスの生徒に攻められたらしい。
お前のせいで遥が怪我をした、とな。」
意味が分からなかった。
遥は手を握りしめる。
「しかし、筧海は何も反論しなかった。まあここまではいいんだが・・・
次の休み時間に、周りに攻められた腹いせに教室移動の時間を狙って
クラスメイトの財布を盗んだらしいんだ。」
「はあ!?海はんなことする奴じゃねーよ!」
「いや、先生も最初は信じなかったがな・・・筧に本当に盗んだのか確認をとったら
頷いたんだ。それに、筧海の鞄から数人の生徒の財布がでてきた。」
だから彼女は一週間の停学だよ、と呆れたように言った。


